院長黒坂の独り言です。
御正月休みに新聞映画評で絶賛されていた映画『暮れ逢い』を狸小路シアター・キノで
見てきました。
いわゆる道ならぬ恋”のお話ですが、今時珍しい大人の純愛映画でした。
携帯電話・スマホを持っていない人(私黒坂がまさにそうです)が原始人と見なされる昨今です
が、出した手紙も届かない場合があるという、もどかしい時代背景の物語です。
作家の瀬戸内寂聴さんは、ある対談で「出した手紙が相手に届くまでに何日も掛かった
平安時代の恋愛のほうが、現代より余程情熱的だったのです。」と述懐されています。
この『暮れ逢い』でもそうですが、古今東西の大恋愛の成立には、3つの条件があると
私は思います。
黒坂の大恋愛成立の3大条件とは・・・・
その1、大きな障害があること。
その2、すれ違いがあること。
その3、男女ともに健康な心の持ち主であること。
そして、その上で、お互いに満たされない心の隙間があること。
人を想う気持ちが醸成されるには、思うがままにならない孤独な時間が、必ず必要だと
私も感じます。
『暮れ逢い』の音楽では、美しいヒロインが演奏するベートーヴェンのピアノソナタ「悲愴」の第2
楽章が印象的でした。
日頃聴きなれているこの曲が、美しい女性が演奏すると、テクニック的にいかに稚拙でも、
かくも甘く切なく響くものかと新鮮に感じられました。
これも、あばたもえくぼ、ということでしょうか?